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教科書からあいつが消える日

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

教科書に書いてあることは正しいことだと思われがちですが、実は教科書の内容はコロコロ変わるものです。

今回は今の教科書には書いてあるけれども、その内書き換えられるかもしれないことをご紹介します。

 

日本史では守護大名という言葉を習いますよね。

鎌倉時代の守護よりも権限が強くて、後の戦国大名よりは弱い、室町時代特有の地方政権というイメージではないでしょうか。

実はこの守護大名というイメージは、1946年に発表された石母田正先生による「守護領国制論」に基づくイメージです。

ここでは、地方毎に半ば独立した政権である守護大名がいて、その連合政権として室町幕府が担ぎ上げられていたということが説かれています。

教科書の内容も概ねその通りですね。

 

しかし、守護領国制は今ではかなり古い学説で、最近の通説では印象が変わってきています。

そもそも室町時代の守護は完全に世襲をしていたわけではなく、幕府から任免される立場でした。

それに守護の多くは普段京や鎌倉に住んで幕府の仕事をしていて、現地は守護代が治めていました。

室町幕府の一員として守護がいて、地方と中央の調整役をしていたというイメージの方が実情に合っているようなんです。

実力で支配する戦国大名のような感じではなく、実務的な中央官僚の方が近いのかもしれません。

そういった背景もあって、守護大名という名称自体が見直されてきていて、日本史学の最近の論文ではあまり使用されなくなってきています。

 

室町時代といえば、守護大名や戦国大名が好き勝手をしていて、幕府や朝廷はお飾りだったと語られがちですが、最近は室町時代末期ですら幕府や朝廷の影響力は大きかったのではないかと見直されつつあるんです。

そういうわけで「守護大名」という言葉は近いうちに教科書からなくなるかもしれないと予想しています。

 

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