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完了の「り」の接続は?
育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。
お盆休みをはさんで2週間ぶりの更新になりました。
夏休みも終わりに近づいていますが、やり残したことはありませんか?
WINGATEでも受験生を中心に毎日のように自習しに来てくれる人が増えています。
9月からは本格的な過去問対策など演習中心の勉強に切り替えたいところ。
基本事項に不安のある科目は、必ず今月中に復習を済ませておきましょう。
さて、今回の話題は古語の助動詞「り」の接続についてです。
私が高校生の時は「サ変の未然形、四段の已然形」と習い、「さみしい」の語呂合わせで覚えました。
しかし最近の教科書では「サ変の未然形、四段の命令形」などとなっていることも多いようです。
四段の已然形と命令形はどちらもエ段なので、どちらで覚えても困ることはないのですが、実は四段の命令形に接続すると考える方が正確なんです。
そもそも日本語の母音は今でこそ5音しかありませんが、奈良時代くらいまではもっと多くの母音があったことが分かっています。
実はエ段も奈良時代までは甲種・乙種の2種類がありました。
これは万葉集など万葉仮名で書かれた文献の調査で分かります。
今では同じ発音のはずなのに、単語によって明らかに異なる万葉仮名を使い分けていることがあるんですね。
そういった奈良時代以前の発音の調査が近年進んでいて、そこから四段活用の已然形と命令形も元は違う発音だったことが分かったのです。
完了の「り」の接続には、命令形の時の万葉仮名しか使われないことから、やはり接続は四段の命令形とするのが正しいわけです。
とはいえ、そもそも完了の「り」の接続という考え方が適切かどうかも実は疑問です。
「り」は語源を辿ると、「連用形+あり」の語末の「り」で、直前の「i+あり」がなまって「eり」になったものです。
その時の発音が命令形に近かったというだけの意味でしかありません。
少なくとも平安時代にはエ段の音は一つになっていたはずですし、已然形・命令形の区別自体江戸時代以降の学者が便宜上考えただけのことです。
そう考えると、やはり「四段の已然形」と覚えても別に間違っているとまでは言えませんし、困ることもないんです。
そういうわけで、私が授業をする際は「サ変の未然形、四段の已然形」と教えています。
「さみしい」の語呂合わせが使えるメリットには変えられません。
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