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多くの人が騙される交絡

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

前回は高校で習うピアソンの積率相関係数が、線形の評価しかできないことをご紹介しました。

相関係数に頼りすぎると、むしろ現実が見えにくくなるので注意が必要です。

今回もそれに関連して、相関係数の注意点をご紹介したいと思います。

 

アイスの売り上げと水難事故の相関という有名な話があります。

年間のアイスの売上高の推移と水難事故の発生件数の推移を比較すると、なんと非常に強い相関が見られるのです。

アイスの売り上げが伸びれば伸びるほど水難事故は増え、売り上げが下がると水難事故は減ります。

水難事故を減らすためにもアイスの販売を規制すべきでしょうか。

 

この話の何が間違っているか分かりますよね。

アイスの売り上げと水難事故に相関関係はあるでしょうが、両者に因果関係があるわけではありません。

アイスが売れるから水難事故が起こるわけでも、水難事故が起こるからアイスが売れるわけでもないのです。

実際には気温が上がるから、アイスの売り上げと水難事故が増えるのでしょう。

相関関係が必ずしも因果関係を意味しているわけではありませんよね。

 

ちなみに2つの変数の両方に相関する第3の因子があることを交絡と呼び、その因子を交絡因子と呼びます。

今回の例では気温が交絡因子だったわけです。

実際の統計では交絡因子を見つけ出す作業がとても大変で、間違った結論を出してしまう大きな原因の一つになっています。

 

最近の例では、少量の飲酒が寿命を延ばすという研究結果が出されました。

実際飲酒量と寿命の相関を統計的に調べると、少量の飲酒をしている集団では正の相関があったそうです。

そこで少量の飲酒が血行を促進するなど、健康にプラスの寄与をしているのではないかと推測されたのですが、後に分析にも交絡があることが分かりました。

交絡因子として健康への意識の高さがあり、健康リスクの高い人が健康意識が高くなり飲酒を控える傾向にあったというのが実態に即した分析でした。

 

このように統計的手法はとても有効な分析手段ですが、そこから因果関係がすぐに見出されるわけではありません。

このことはあらゆる分野で意識しておくべきです。

 

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