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地動説は正しいのか
育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。
今日6月22日は有名なガリレオ裁判の判決が下された日です。
「地動説」を撤回させられたことで知られている裁判ですが、ここでいう「天動説」、「地動説」も実は誤解している人が多い用語なんです。
地球が止まっていて太陽が動いているのが天動説、太陽が止まっていて地球が動いているのが地動説、と認識している人がほとんどなのではないでしょうか。
しかも、「本当は太陽が止まっているから地動説が正しいんだ」と思っていませんか?
よく考えてみて下さい。この世界に絶対的に止まっているものなんてありません。
地球から見れば太陽が動いて見えるし、太陽から見れば地球が動いているように見えます。
動いているか止まっているかは見る人によって変わる、相対的な物なのです。
どうでしょうか。少し考えれば上記の意味での「天動説」、「地動説」はどちらも間違いなのが分かりますよね。
「天動説」、「地動説」という訳語がおかしいので誤解されるのも仕方がないのですが、この議論の要点は、どちらが止まっているのかではなく、どちらが公転の中心なのかということでした。
プトレマイオスの地球中心の公転モデルよりも、コペルニクスの太陽中心の公転モデルの方が、より天体の動きを正確に理解できたというのがこの話の本質だったのです。
でもちょっと待ってください。公転の中心だって相対的な物だと思いませんか?
太陽を中心にすれば地球が公転しているように見えるし、地球を中心にすれば太陽が公転しているように見えるはずです。
どちらも観測者が違うだけで同じ運動のはずなのに、なぜ地動説の方が優れているというイメージが定着しているのでしょうか。
実は天動説も地動説も本質的には違いはないんです。
当時の科学者たちはそこまで理解できていなかったのでしょうが、どちらも観測者が違うだけで同じ運動を記述しているにすぎません。
それでも地動説の方が優れている点が一つだけあります。
それは地球と太陽の重心、あるいは太陽系の重心がほぼ太陽の中心近くに存在するということです。
重心を固定して運動を理解するのはメリットがあります。
詳細は省きますが、たいていの場合運動を数学的に簡単に記述することができるんです。
つまり、地動説は意図せず重心中心説とほぼ同じ主張をしていたために、たまたま合理的だったということなんです。
「天動説が間違いで、地動説が正しい」という主張。
一見「常識」のようでも、少し考えただけでおかしいことに気付けますよね。
「どちらも正しいけど、地動説だと計算が楽」というのが正確な解答ではないでしょうか。
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