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修学旅行で強くなれた時代

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

新型コロナの流行で一時は閑古鳥が鳴いていた観光地も、最近は賑やかさを取り戻しつつあるようですね。

私が住んでいる奈良でも修学旅行生をよく見かけるようになりました。

この修学旅行というイベントですが、実は始まりは意外な形だったのです。

 

修学旅行の始まりは1886年の東京師範学校だと言われています。

師範学校というのは学校の先生を養成する学校です。

大学で教師を育成するのは実は戦後になってからなんです。

修学旅行を実施するきっかけになったのは体操でした。

体操は1868年に陸軍で導入され、1878年には体操教員育成のための体操伝習所が設立されます。

そして1880年からは陸軍の士官が伝習所に派遣されて「歩兵操練」という軍隊式の体操が導入されました。

当時は徴兵制なので、徴兵後に急に訓練を始めると負担が大きすぎるということで、青少年の段階から体を慣れさせるという目的があったようです。

そして1885年からは東京師範学校でも「兵式体操」という名称で科目に組み込まれることになりました。

ここから全国の学校に体操が広まっていったのです。

 

東京師範学校で最初の「修学旅行」が行われたのはその翌年のことでした。

このときは「長途遠足」という名称で実施されています。

内容は今の修学旅行とは全然違い、元々の意味での「遠足」なので目的地までは行列を組んで徒歩で向かいます。

そして射撃訓練などの軍事訓練を受けながら、気象観測や博物観察などの学術研究を組み込むという内容でした。

当時の学校の先生は射撃訓練まで受けていたのですね。

 

明治の終わりごろにはこのような形の修学旅行は形骸化していき、徐々に観光主体の今のスタイルに変化していきます。

それでも修学旅行はあくまで教育が目的なのは変わりません。

ただの慰安旅行ではないんですよ。

 

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