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ゼロとハチの話
育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。
ゼロの概念が人類全体に広がって、科学が飛躍的に発展したことは前回までに書いた通りです。では人類以外の生物にゼロの概念を理解することは可能なのでしょうか。
実はこれまでに色々な実験がなされて、イルカなど一部の哺乳類がゼロを認識できることが分かっています。それどころか最近の研究では、昆虫のミツバチでさえゼロを理解できていることが示唆されているのです。なぜそんなことが分かるのでしょうか。
次のような実験がなされました。まず1~4個程度の模様が描かれたカードを数枚用意します。次にそのカードを並べて、最も模様の少ないカードの裏側にのみ餌を隠しておきます。そこにミツバチを放ち、どのカードにどれくらいの時間とどまるのかを計測しました。
すると当然餌を隠したカードにミツバチは長く留まるわけですが、この実験を何度も繰り返した後、餌を置かずに同様の実験をしても、ちゃんと模様が一番少ないカードに長く留まったそうです。
つまりミツバチは、模様の数が少ないカードの裏に餌があるという規則を学習できただけでなく、数の大小も理解できたということになるわけです。
さらに模様を全く書いていないカードを混ぜて、その裏に餌を隠す実験をしても結果は同様でした。ミツバチたちは模様のないカードに長く留まったのです。
ということは、何もない状態と模様が1つだけある状態とで大小を比較することができているということになりますよね。
こうしてミツバチにも、何もない状態を大小比較できるゼロという概念で認識できているということが示唆されるわけです。
話は変わりますが、ミツバチといえば高校生物では特別な扱いをされる生物ですよね。
8の字ダンスで餌場の位置を仲間に知らせるという話は、生物選択でなくても聞いたことがあるのではないでしょうか。
ミツバチのダンスの様子からどこに餌場があるのか割り出す問題は高校生物の定番です。
私がこれを習った時は、この一生使いそうにないスキルを頑張って習得しようとしている自分が面白くて仕方なかったです。
こういう話をすると、学校の勉強は社会では役に立たないという声が聞こえてきそうですね。
確かにほとんどの人にとって、8の字ダンスを読み取らなければならない状況は一生やってこないでしょう。
しかし8の字ダンスの本質はそこではありません。
学習指導要領では「動物の行動」という単元があり、教科書ではその中の生得的行動の例として8の字ダンスが取り挙げられています。
生得的行動、つまり生まれながらに決定づけられている行動様式には、反射・走性・本能などがありますが、その中でも非常に複雑な物の例として取り挙げられているのです。
こういう所で学生の勉強の仕方や、講師や教師の授業の仕方に差が出るんです。
8の字ダンスの読み取りの練習ばっかりしてるのではだめ。
そこから生物の行動に対する理解を深めていくような学習をしないと意味がないんです。
最近の入試問題もこういう所で差がつく問題が増えていますよ。
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