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わからないこと

みなさんこんにちは。大学受験科の谷です。

 

京都府の多くの高校では新学期が始まっているようです。

 

学校によっては、体育祭・文化祭を開催するところもあるようですね。

 

しかし、残念なことに開催できなくなった高校もたくさんあるようです。

 

どちらにしても、受験に向かって気持ちを切り替えていってほしいところです。

 

さて、今週も私の愛読している本を紹介したいと思います。それは笈川 博一著

 

『古代エジプト 失われた世界の解読』 です。

 

 

 

笈川先生は、古代エジプト語を専門に研究しておられる言語学者です。

 

生徒たちとよく話していると、世界史がどうも…という人が結構いるようです。

 

社会科全体が苦手だという人ばかりではなく、歴史自体は嫌いではないはずなのに

 

「世界史のわかるようでわからないところが気持ち悪い。」という声も聴きます。

 

なぜこうなったのか?と、調べながら勉強していてもわかるようでわからないことばかりだと、

 

ある生徒は言います。

 

話を戻すと、古代エジプトについて様々なことがわかっていますが、それは文字史料の解読を通して

 

はじめて解明されます。しかし、それでも当然わからないこともたくさんあるわけですが

 

わかるようでわからない。このもどかしさを笈川先生はどのように考えておられるのでしょうか。

 

 

 

 

エジプト語の固有名詞の読み方については筆者には定見がない。(中略)エジプト語は母音を書かない。

 

しかも完全に死語になってしまったために発音を伝える伝承もない。たとえば中心的な神アメンは

 

アモンかもアムンかもしれない。あるいは最初の〝ア〟が〝イ〟である可能性もある。

 

それならイメン、イモン、イムンなどのどれかになる。

 

我々が知るかぎりエジプト語の名詞には格変化がないことになっているが、もしかしたらそれは

 

古典アラビア語と同じように語末の母音の変化で表されていたのかもしれない。

 

それなら最後の〝ン〟のあとに母音があったはずだ。アメヌだろうか、それともアメニだろうか。

 

目的格ならアメナかもしれない。また母音は長かったのか、短かったのか。そもそもいくつ母音があったのか。

 

子音のどれかがダブることはなかったか。我々には何も分からない。

 

ましてやイントネーションやアクセントなどについては全く手掛かりもない。ずっと後代のギリシャ人は

 

この神名を〝アモーン〟と音写したが、それがどの程度本来の音を伝えているのか保証はどこにもない。

 

名詞の格に関連して妙な現象がある。ピラミッド・テキストから中期エジプト語まで、

 

前置詞が落ちる例はほとんどない。それが後期エジプト語になってからかなりの率で前置詞が省略される。

 

ところが民衆語でも、そのあとのコプト語でも前置詞は必ず書かれる。今までのところこの妙な現象について

 

満足のいく説明はない。(中略)エジプト語が書かれるようになってから約五千年、忘れられてからすら

 

千数百年が経つ。この間に多くのものが失われてしまって、それを回復出来る希望もない。

 

しかし筆者個人に限れば、この空白こそがはるか後代の我々にロマンを与えてくれるように思えるのだが。

 

 

 

 

私は古代エジプトのことをよく知らないのですが、とても興味深い話ですね。

 

現在、わかっているとされることも結局は推測でしかなく、それを誰も確かめることはできません。

 

笈川先生は、わからないから気持ち悪い、嫌いだとはならずに、それをロマンだとおっしゃっています。

 

受験生の皆さんも、わからないことに謙虚な気持ちで向き合って受験勉強を進めてくださいね。

 

 

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