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幻の品詞

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

前回に引き続き、将来の教科書を予想する話をしてみます。

今回のテーマは「形容動詞」。特に現代語における形容動詞についてです。

 

現在学校で習う国文法を学校文法と言うのですが、これは明治期に橋本進吉先生が作った橋本文法をベースに作られています。

橋本文法という名前があるということは、実は国文法には他にも様々な文法体系があるということなんです。

橋本文法はとても分かりやすくて、学校で教えるには適していると思いますが、なにしろ明治にできた物なので、どうしても古くなっている部分もあるんです。

 

特に議論の的になっているのが、形容動詞を独自の品詞として扱うべきかという問題です。

橋本文法では独立した品詞として形容動詞を挙げていますが、これが不要だという論が実は昔からずっと唱えられ続けているのです。

例えば、「山だ」と「元気だ」の2つを比べてみて下さい。

学校文法では、前者が「名詞+助動詞」後者が「形容動詞」として習います。

この見分け方覚えていますか?

体言に接続するときに、活用語尾が「な」になるのが形容動詞です。

「元気な」とは言いますが、「山な」とは言いませんよね。

実は両者の主な違いはこれだけなんです。

だったら「元気」という少し特殊な名詞があると考えれば済む話なので、わざわざ品詞を増やすほどのことではないというのが形容動詞不要派の意見なんです。

 

すごく簡略化して説明したので、実際にはもっといろいろなことを考えなければならないのですが、形容動詞を取り巻く現状の一端がお分かりいただけたでしょうか。

実は私の授業ではかなり前から、「形容動詞は近々教科書からなくなると思うよ」と言い続けてきました。

実際にはなかなかなくなりませんね。

形容動詞必要派の人たちもたくさんいて、そちらにも一理あるので、教科書が書き換わるとしてももっとずっと先になるのかもしれません。

とはいえ、形容動詞不要派の文法が年々勢力を増しつつあるのも事実です。

今後どのように学校文法が変化していくのか楽しみですね。

 

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