育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

今月からiPhoneが値上げするということで、話題になっていますね。

米Appleは値上げの理由を明らかにしていませんが、最近の急激な円安が原因と言われています。

日本でiPhoneを売る場合円で売ることになるので、米ドルが欲しい米Appleにとっては損になってしまうわけですね。

さて、この値上げに関してある論破王が、円の価値が下がったためにiPhoneの値が上がったことを指摘したうえで、「日本経済が落ちてる事に気付いてない人が多いのは、ニュースの表現の問題もあるのかなぁ、、、」と述べていました。

これも随分話題になりましたね。

彼の主張は大方間違っていないのですが、今回の円安が「日本経済が落ちている」せいだというのは不正確です。

日本の経済力が落ちてきていることを示す指標はいくつかありますが、それは数十年単位のスパンでの話です。一方今回の円安はロシアがウクライナに侵攻してからの数か月間の話です。

アメリカがインフレ抑制のために金融引き締めに動いているのに対し、日本は金融緩和を続けているために、両国間で金利格差が広がって、今回の円安になりました。

もちろん原因をたどれば、日本全体の競争力低下が無関係ではないかもしれませんが、安易に結びつけるのは短絡的ですね。

同じような論は地球環境の話題でもよく見かけます。

今年の夏は猛暑が予想されていますが、これをすぐに地球温暖化と結びつける人たちがいます。

地球温暖化というのは直近100年程度の気温上昇を指します。

地球の歴史から見れば確かに急激な気温上昇ではありますが、かといってここ数年の気温変化と結びつけるのは無理があります。

もちろん全く無関係ではありませんが、100年単位のはなしと数年単位の話は区別する必要があるでしょう。

来年の夏が今年より涼しくなっても地球温暖化が止まったことにはなりませんよね。

このように小さい話と大きい話を結び付けて論を作る手法は、昔から人をだます定番として使われてきました。

皆さんは騙されないように世の中の因果関係の仕組みをよく学んでください。

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