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桜と再生医療

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

今年度最後のブログになりました。

桜もそろそろ満開でしょうか。

今日は桜にまつわるお話です。

 

日本の桜を代表するソメイヨシノですが、全国のソメイヨシノは遺伝子型が全て同じなのは有名ですよね。

気象庁が毎年都道府県毎に桜の開花宣言をしていますが、これは都道府県内のソメイヨシノを全て見ているわけではありません。

各都道府県ごとに標本木というソメイヨシノの木が一本づつ定められていて、その一本だけを観測して開花したかどうかを発表しているのです。

ソメイヨシノは全て同じ遺伝子型なので、一本だけ見れば他のソメイヨシノの状態もすぐに分かるというわけです。

ただし沖縄と北海道だけはソメイヨシノが育たないので別の品種ですが。

 

ソメイヨシノの遺伝子型が一種類しかないのは、ソメイヨシノが種子を作らないためです。

本来そのような品種は自然界から淘汰されるはずですが、ソメイヨシノは花が美しいために人々が接ぎ木や挿し木をして繁殖させてきました。

このような繁殖の仕方は植物特有ですよね。

 

ではなぜ植物は接ぎ木や挿し木で個体を増やすことができるのに、動物はできないのでしょうか。

それは細胞分化の仕方の違いに理由があります。

動物細胞は普通どの組織に分化するかあらかじめ決まっています。

皮膚の細胞はどれだけ分裂させても神経や骨になることはありません。

なので例えば動物の毛を抜いてそこから新しい個体を作るようなことはできないのです。

ただし受精したてのころの細胞は例外です。

発生初期の頃の細胞は幹細胞といってまだどの細胞に分化するか決まってないのです。

特定の細胞に分化した細胞がもう一度幹細胞に戻ることは自然環境ではありえません。

それを人工的に可能にしたのがiPS細胞ですね。

 

さて植物細胞の不思議なところは、植物細胞のほとんどが別の細胞に分化できるということです。

枝の細胞から根や葉に分化することができるので、ちょっと葉っぱをちぎられた位では植物は何も困らないのです。

だから接ぎ木や挿し木で個体を増やすことができるんですね。

植物は全身がiPS細胞でできているようなものなのです。

 

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