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母なる単位「メートル」

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

前回リットルという単位はメートル条約によって世界に広がったとお話しました。

今回はそのメートル条約の本丸であるメートルという単位についてお話します。

 

メートルの元となる概念が発案されたのは実はリットルより100年以上早い、1668年のことでした。

発案者は、以前このブログでも登場したクリストファー・レンです。

ペストの流行とロンドン大火で壊滅したロンドンの街を再建した人ですね。

彼も世界で統一された単位の必要性を感じていて、この時は周期2秒の振り子の長さを基本単位とすることを提案しました。

当時はガリレオが発見した振り子の等時性が他の何にも依存しないと思われていたので、統一単位として適切だと考えたのでしょう。

ちなみにこの長さを実際に測定したのがホイヘンスです。

この時は今の単位で997mmに相当する長さが採用されました。

 

この基本単位にメートルという名前が付けられたのは少し遅れて1675年。

イタリアのプラッティーニによって名づけられました。

語源はギリシャ語の「metro(メトロ)」です。

metropoliceの接頭辞のmetroですが、元は「母」という意味でそこから「根本的な」とか「基準」という意味でも使われるようになりました。

それがフランス語になり、さらに英語に導入されて「metre」となったわけです。

そういうわけで、「metre」と「mother」は同じ語源ということになります。

 

さて、ホイヘンスの振り子の観察データを基に定義されたメートルですが、これが1790年のタレーランによる単位統一で採用されるにあたって問題になります。

当時はガリレオの振り子の等時性は厳密には成り立たないことがすでに知られていました。

振り子の周期は振れ幅に依存しますし、重力自体も場所によって変化するので当然振り子の周期はその影響も受けてしまいます。

そこで新しいメートルの定義として採用されたのが、「パリを通る子午線の4万分の1」という定義です。

しかし、この定義を採用するには、子午線の長さの厳密な測定が必要になります。

そこでフランスは世界中に科学者を派遣して測量をさせるのですが、これが上手くいきません。

当時はフランス革命の真っ最中でした。

特にイギリスは、自国の領土や植民地内で敵国のフランスが測量するのを認めるわけがありません。

難航する中、ようやく測量が完了したのが1798年。

そして1799年、ついに1メートルが正式に定義され、メートル原器が作成されました。

 

その後はメートル条約によってほぼ世界中でメートルが基本単位として使われるようになりました。

さらにメートルの定義も何度か修正され今に至っています。

それでも未だにメートル以外の単位が根強く使われていますよね。

例えばモニターのサイズを表す○○型という言い方。

あれはモニターの対角線の長さをインチで表した呼び名です。

インチを使って販売することは計量法で禁止されているので、代わりに○○型という言い方にしているわけです。

単位の完全な統一というのは、実際にはかなり難しいことのようですね。

 

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