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世界史の中のパンデミック⑤

育志館大学受験科ウィンゲート講師の一色です。

 

今年最後のブログですが、このシリーズもいよいよ最後です。

19世紀半ばに中国を期限としたペストの流行が発生しました。

特に1894年の香港での流行がひどく、感染者は人口の1%ほどでしたが、そのうち95%が死亡したと言われています。

その背景には、当時の列強による植民地政策に対する不信もあったようです。

香港の人たちにとって西洋人の医師は何をされるか分からない存在で、患者が出ても家族ぐるみで隠すことが多かったようです。

そのため医師が診察するころにはすでに末期になっていたケースが多かったのです。

感染者が人口の1%というのも恐らく低めの数値でしょう。

 

そして香港は当時太平洋地域有数の交易都市です。

そこから日本をはじめ太平洋中にペストが広まっていきました。

そんな中、日本政府は北里柴三郎を香港に派遣します。

彼は結核菌やコレラ菌を発見したことで有名なロベルト・コッホの弟子です。

当時は様々な病気の原因となる細菌が次々と発見されていて、ペストも何らかの細菌が原因ではないかと考えられたのです。

そして北里はついにペストの原因となるペスト菌の発見に成功し、さらに血清による治療法を確立したのです。

 

その後ペストは今でも局地的に流行することがあります。

決して過去の病気と言うわけではありませんが、原因と治療法がはっきりわかっている現在では、かつてのように国家レベルの危機という状況にはならないでしょう。

北里先生をはじめ、何千年という歴史の中で人類が戦ってきた成果ですね。

今回の新型コロナの流行は世界中に大きな影響を与えていますが、もしこれが100年前の科学水準のもとで起きていたらと思うとぞっとします。

 

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