Notice

辞書を活用する

みなさんこんにちは。大学受験科の谷です。

 

夏期講習がいよいよ始まりました。受験生にとっては最後の夏になります。

 

「夏を制する者は受験を制す」とよく言われますが、夏の間に基礎力を蓄え

 

自信をもって新学期を迎えられるように塾生たちには頑張ってほしいです。

 

さて、今週も私の愛読している本を紹介したいと思います。それは、 阿辻哲次著『 漢字三昧』です。

 

 

 

 

 

阿辻先生は中国文学・中国語学者で漢字を中心に中国の文化史を研究しておられます。

 

さて、受験勉強に必ず必要なものはやっぱり辞書ですが、国語辞典・古語辞典・英和辞典・漢和辞典などは、

 

教材として高校から指定されているというケースも多いのではないでしょうか。

 

しかし、現在の高校生は電子辞書のほうが使いやすいかもしれません。

 

大学受験科でもほとんどの塾生は電子辞書を使用しています。

 

しかし、電子辞書はとても便利ですが、電池切れの心配がありますし、紙の辞書は重くてかさばってしまう。

 

辞書なんか使わずに、「単語帳だけで受験を乗り切ります。」という受験生もいるかもしれません。

 

辞書には単語の意味だけではなく、様々な情報が載せられているのですが、あまり活用されていないようにも思えます。

 

さて、辞書の編集にかかわってこられた阿辻先生は辞書についてどのように考えておられるのでしょう。

 

 

 

ある年の三月末ごろのこと、所用があって書店の辞書売り場に出かけ、いくつかの国語辞典を物色していると、

 

一人の中年女性と書店の店員さんの会話のやりとりが聞こえてきたどうやら息子さんが高校に合格したので

 

新しい英和辞典を買おうと思って書店までやって来たのだが、売り場にはいろいろな種類の辞典が並んでいて、

 

どれを買ったらいいかわからず、それで店員さんに相談していたようである。

 

英和辞典の優劣について、売り場で書店の店員さんに訊ねるのも妙な話だとは思うが、

 

新学年が始まるころにはよくあるケースなのだろう、その店員さんは実に慣れた調子で、

 

ていねいにお客さんに応対しておられた。ところがその応対がまことに奇妙なものだった。

 

くだんの店員氏がいうには、この A社から出ている英和辞典は収録語彙が m万語で値段は n千円となっているが、

 

一方 B社刊行のこちらは、収録語彙数が A社版より多いにもかかわらず、価格は A社よりも数百円安いので、

 

B社の辞書のほうがお買い得である、とのことだった。横で聞くともなしに聞いていて、思わず吹き出しそうになった。

 

この店員氏と女性は、あたかもデパートのギフト商品売り場で「紅茶のティーバッグ詰め合わせセット」などを選ぶ感覚で、

 

これから高校に入る学生が使う英和辞典を選ぼうというわけだ。  多忙な日程をぬって何度も会議を繰り返し、

 

乏しい発想を駆使して他社のものにはない新機軸をひねりだし、大変な苦労をして語彙を選択し、

 

ユーザーがより便利に使えるようにとさまざまな附録をつけた辞書の編集を経験したことがある私には、

 

一所懸命に作ってもそんな感覚でしか受け取ってもらえないのかと、まったく泣きたくなるような話だった。

 

 

1冊の辞書を編集するのにこんな苦労があったなんて私は知りませんでした。

 

辞書の選び方は人それぞれですが、積極的に活用しなければもったいないですよね。受験生の皆さんも、わからない単語を調べるだけでは

 

なく、厳選された図版や附録などに目を通して、めんどうくさがらずに調べることの楽しさを味わってみてくださいね。

 

School

各教室<スクール>のご案内