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基礎の意味
みなさんこんにちは。大学受験科の谷です。
いくつかの高校では定期試験が終了したようですね。
しかし、油断はできません。一部の高校ではこの後に模擬試験を控えているからです。
模擬試験は高校の定期試験とは違って、難しさや出題範囲が桁違いです。
志望校についてもA~Eまでの判定が下されるので結果が戻ってくるまではドキドキしてしまいますよね。
塾生たちには、変に緊張することなく、受験してほしいものです。
さて、今週も私が愛読している本を紹介したいと思います。
それは二畳庵主人著『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』です。
二畳庵主人というのは、中国哲学史を専門とする東洋学者の加地伸行先生のペンネームで、加地先生は、『論語』の研究などで有名です。
もうすぐ夏休みということで、「夏休み中に基礎を完璧にしよう!」と意気込んでいる受験生も多いでしょう。
しかし、基礎とは何でしょう。基礎を完璧にするとはどういうことなのでしょうか。加地先生はこのように述べておられます。
「漢文法の基礎、などと言うと、なんだか初級の漢文のような気がしてありがたみが少ないと思うかもしれない。
俺は受験勉強中なんだから、チットは高級な講義をしてほしいと思うかもしれない。或いは、基礎が肝心だから、
基礎から勉強して受験勉強に進みたいので、ちょうどよかった、と思う人があるかもしれない。
その両方とも、残念ながら、私の考えている「基礎」の意味と異なる。右の両者ともに、ことばには、
小学生用から高校生用まで段階があるという考えである。これはおかしい。ことばに小学生用や大人用がある、などというのは。
赤ちゃんが、ウマウマ、と言うと、単純な幼児語と思うかもしれない。しかし、それの意味するところを通用語に直すと、
「お母さん、おなか空いた。ごはん食べたい。」と言っているのかもしれない。また、大学構内にベタベタと貼ってある
宣伝文は、高度な思想用語や文学的造語にちりばめられているが、内容空疎で、キャーッというストレス解消の叫び声と
変わらないかもしれない。私は、ことばに程度の高低があるとは思わない。(中略)
初歩と基礎の違いを説明しておこう。例えば、入試に落ち浪人生活を始めると、きまって基礎から始める、と言う。
そこまではいい。そのあとがいけない。基礎をから始めると称してヒッパリ出してくるのは、判で押したようにきまって初歩的テキスト。
本を開ける。書いてある。I am a boy . なんだヤサシイノ、私は少年である。よしわかる。
次のページをめくる。I have a book . これもヤサシイ! 私は一冊の本を持っている。よくわかるじゃない?……
といった調子で勉強するにちがいない。そして基礎の勉強をしていると思い込んでいる。こういう気の毒な受験生が多いんだ。
初歩的なことがわかるということと、基礎ができたものと、勘違いするのだ。いいかい、初歩的知識というのは、
単なる事実としての知識にすぎないんだ。それはそれだけのことであって、その初歩的知識には広がりというものがない。
つまり応用がきかない、ということなんだ。」
なかなか難しい話ですが、簡単な知識が覚えられていることと、基礎が身についている
ということは全く別のことだということですね。「基礎問題はできるけど、発展・応用問題は
全然ダメ。」というような受験生も意外と多いのかもしれません。
初歩的な内容を自分で整理して、どうしてこうなるのか徹底的に分析して、力は身に付きます。
受験生の皆さんも、焦らずに、油断せずに日々の勉強を進めてくださいね。
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